2014年の夏休みに訪れたベルヒテスガーデン。
ヴァッツマンをはじめ、雄大でダイナミックな自然はもちろん魅力なんですが、ほかにもこの地域の産業や歴史に触れられると同時に、子供でも楽しめるアトラクションのような施設があります。それはベルヒテスガーデン岩塩鉱山Salzbergwerk Berchtesgaden。(2021年4月30日現在、コロナ感染拡大防止のため見学は不可)
500年以上前、1517年から続いている岩塩鉱山で、山腹から山の中に向かって掘られた採掘のためのトンネルが見学ルートになっています。ルート上ではトロッコ列車あり、ケーブルカーあり、滑り台を滑ったり湖水の上を遊覧したり。岩塩採掘のための技術や機械について感心することしきり。それらを洞窟を進んでいくような雰囲気の中で体験できるのです。
見学は時間指定をして予約をしていくか、当日行って空いている時間帯のチケットを買うか、どちらでもできました(コロナ禍後の状況についてはどうなるか分からないですが)。時間になってゲート入ると、まず見学者用のつなぎ服を借りて着ます。お塩掘りの職人さんになったようでテンションも上がります。
その後、トロッコ列車に乗って山の中に掘られたトンネルの中を650メートル、かなりの速さで進みます。片側に手すりはついていますが、列車には天井も側面もないので結構ゾクゾクしますよ。 立ち上がるなんてことは、もちろんしてはいけません!
見学は、昔のお塩掘り職人さんのいでたちをしたガイドさんの案内で進みます。ドイツ語(バイエルン訛り)ですが、トロッコ列車乗車時に他言語の音声ガイド機を借りることもできます。日本語も選べますが、かなり早口で話されているのと、岩塩採掘の専門的な言葉も交えて話されているので、うちの子供たちにはちょっと難しすぎたようでした。
それでも見学ルートには楽しめるポイントがたくさん。
「塩の大聖堂」と呼ばれる空間ではライトアップで幻想的な雰囲気が醸し出されていたり、より深く潜っていくところでは階段の代わりに滑り台で滑ったり。かと思うとハイテク映像技術でお塩の採掘技術を見られたり、塩水くみ上げのための巨大なポンプを間近で見たり。そして何と言ってもハイライトは「鏡の湖」でしょう。見学コースの最深部、満たされた水の上をボートに乗って進む間、真っ暗な空間の中に光のショーが繰り広げられます。波一つ無い水面には、その名のとおり鏡のように光が映り、幻想的なことこの上なしです。
坑道の中の気温は年間をとおして摂氏12度くらいで、夏でも涼しいです。つなぎを着るのは、見学中の安全のため、滑り台で服を保護するためでもありますが、寒さを防ぐためでもあると思いました。
実際に岩塩の層から塩を取り出す手順はというと、岩塩を含む山の中に大きな空間を掘って、そこを水で満たし、溶けだした塩を含んだ塩水にするそうです。すごーーく濃い塩水になります(見学ツアーの最後にお味見ができるんですが、ものすごくしょっぱかったです)。これを20㎞のパイプをとおして工場に送り、そこで食塩に加工されるそう。工場はベルヒテスガーデンの北、バート・ライヒェンハルの街にあります。
このロゴのお塩アルペンザルツ、日本でも手に入るみたいですね。ドイツのスーパーマーケットでも手軽に買うことができるし、もちろんベルヒテスガーデン岩塩鉱山のショップでも買うことができました。でも在住している国では見かけません。ドイツに近いのにどうして・・・?
ベルヒテスガーデンとその周辺の地域一帯は、アルプス造山運動の際に海水を抱え込んで隆起したところだそうです。その海水の名残が現在とれる岩塩となっているというから、スケールが大きい!この地域では、古くから塩の採掘が重要な産業だったようで、地名からもそれが読めて取れます。先に述べたバート・ライヒェンハルBad Reichenhallしかり、国境を挟んでオーストリア側にある町ハラインHalleinしかり。これらの地名の「hall」は塩を意味するとのこと。それに、オーストリアのザルツブルクSalzburgも近くですが、これなんてズバリ「塩の砦」ですからね。
ベルヒテスガーデン岩塩鉱山、コロナ禍が明けたら、またたくさんの人に見てもらいたいところです。
読んでくださってどうもありがとうございました。