アルゴイとオーバーバイエルンの魅力 ー その他もろもろ ー を語ってみるブログ

ケーニヒス湖からオーバー湖へ、氷河が作った谷間をハイキング  

ベルヒテスガーデンを訪れる誰もが、必ずと言っていいほど足を運ぶのがケーニヒス湖Königsseeでしょう。

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ケーニヒス湖の中ほどにある半島に立つ聖バルトロメー教会

以前の記事でも触れましたが、氷河期に形成されたフィヨルドのような谷間に、南北約8キロメートルにわたって水をたたえる、それはそれは美しい湖。

kaoribaori.hatenablog.com

険しく切り立った両岸の荒々しい山肌、湖の中ほどのほとりに立つ聖バルトロメー教会のおとぎの国のような雰囲気、刻一刻と様子を変えながら山の稜線の上を漂う雲の様子・・・。語彙力が足りなくて、魅力を存分に伝えきれないのがもどかしい・・・。

ケーニヒス湖の観光地としての人気は高く、近くには大型駐車場がばっちり完備されています。このほかにも、周囲には充実したハイキング・トレッキングルートが整備されているほか、ロープウェイにのって山の稜線近くまで上れるので、もちろんそういった目的のために来る人も多いですね。ちなみに、ロープウェイに乗って上っていけるところは、冬にはスキー場になります。

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駐車場を上から見てみるとこんな感じ

さて、車を停めて湖に向かう途中にはほかの観光地と同様、お土産屋さん、レストラン、ご当地物の軽食を扱う売店などなど、かなりにぎわっています。そしてその先、湖の北端には、ケーニヒス湖遊覧船の桟橋があります。ドイツ国内はもちろん世界中からお客さんが来るらしく、繁忙期は乗船場に長い列ができて、いかにも観光地的な雰囲気。でも雰囲気にだまされてはいけない!湖上の船からは、両岸に迫力満点で迫る山々や、湖面に映る山と空、ところどころ山肌から水が滴る滝、そして水上を吹くさわやかな風・・・。心が洗われる体験です。新型コロナ感染拡大防止措置のため、観光船の運航が停止されていましたが、2021年5月21日から運航再開されたそうです!!!(5月22日現在情報)

www.seenschifffahrt.de

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澄んだ湖水の上を、船はすいすい静かに進んでいきます。奥のほうには聖バルトロメー教会が見えてきました。

電動モーターで静かにすいすい進む船は、聖バルトロメ―教会までの半ばあたりでいったん止まります。するとトランペットを取り出す船員さん。崖に向かって吹かれる短い旋律に続いて聞こえてくるのは、周囲の山々からこだまする音色です。こだまとは思えない澄んだ音色が、静まり返った谷間に響き渡るのはとても荘厳で感動します。

船は聖バルトロメ―教会のほとりの桟橋を経て、湖の南端ザレート牧草地との間を往復しています。聖バルトロメ―教会では、ここからハイキングに行く人、ヴァッツマンの東壁から山頂にアタックをかける人、教会そのものをお目当てで来る人など、多数のお客さんが下りていきますが、私たちは終着点のザレートまで進むことにしました。ここまで所要時間は約55分です。

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ザレート牧草地の桟橋に到着する遊覧船

ザレートで船を降りると、そこも両側を高い崖に挟まれた深い谷間。でも谷底には幅があって、放牧されている牛が草を食んでいるのを見ながら、ここからさらに谷奥のオーバー湖を目指してハイキングします。草原の中のハイキングルートはちょうどいい起伏があって、途中の小川で冷たい水に手を浸したり、崖の壁を滴る滝の水が霧のように降ってくるのを浴びたり、木々や草の緑と新鮮な空気、触れる水の冷たさと気持ちよさ、そして眼前に迫る周囲の山々。まさに自然の中で心洗われる体験。

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ザレートの谷間をハイキング

ここで気付くのは、草原にごろごろ転がるごつごつした大きな岩。一個や二個ではなくたくさんあります。大きさも半端ないものもあります。これは、氷河期にこの谷間ができたころ、氷河によって山から削られ押し出されて運ばれてきた岩が、氷河の退行の際に取り残されたものだそうですね。18世紀ごろには、こうした岩はノアの洪水が本当にあった証拠だと考えられたそうです。

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こんな岩に腰掛けてお弁当の時間

ザレートの波止場から歩いて15分ぐらい行くと、ケーニヒス湖のちっちゃい弟分のようなオーバー湖Oberseeにつきます。ここも深い谷間の湖。谷間というより、谷の行き止まりですね。オーバー湖の背後にも高い崖が立ちはだかっていて、そこを一筋流れ落ちる滝。これはドイツ国内で最長470メートルの落差を誇るロートバッハの滝Röthbachfallです。

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オーバー湖の対岸を臨んだ様子

目視だと対岸まで結構近いように見えるのですが、コースタイムを見ると片道一時間とありました。ロートバッハの滝を間近で見たいという気持ちはありましたが、さすがに往復2時間歩くのはきついなぁとなったので、今回はここで引き返すことに。ザレートの桟橋からまた遊覧船で出発地点の船着き場まで戻りました。

とは言えこの日はまだ時間もありましたので、そこから近くのロープウェイで、ケーニヒス湖の東岸イェナー山Jennerに上ることにしました。冬はスキー場として人気があるところらしいですが、夏のこの時期も山頂の展望スポットや山頂近くのレストランは、かなりにぎわっていました。

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展望スポットからは、さっきのケーニヒス湖が眼下に伸びています。

ここから見下ろすケーニヒス湖もそれはまた美しく、対岸のヴァッツマンの威容も迫力があります。また反対側に目を向けると、ベルヒテスガーデンの街並みがまるでジオラマのように目の前に広がり、その後ろには、これも謎めいた伝説の多い石灰岩の山、ウンタースベルクUntersbergが見えます。

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ベルヒテスガーデンの街と背後のウンタースベルク

お天気にも恵まれ、ケーニヒス湖とその周辺の雄大な自然を目いっぱい満喫した一日でした。また行きたいなぁ。

読んでくださってどうもありがとうございました。